廣川政樹 作品
運命の肖像
Moirai
Ⅰ
作品解説
この作品は、ギリシア神話に描かれた運命の三女神をモチーフに制作されました。過去、現在、未来という人間が創り出した概念は幻であり、時間の流れは地続きではなく、断片的なものに過ぎません。
時間という概念の様態を俯瞰し得る精神、有限の時間の流れを生きる肉体、そしてその両者の相互作用を管理する魂が存在します。たとえ自らの辿る運命を予期していたとしても、抗いようのない大きな河の流れの前では、抵抗は意味をなしません。魂と完全に同化し、あらかじめ運命の舵を切ることは、通常、人の身には許されないことなのです。その行為には代償が伴い、宇宙の法則に従って相応の供物を捧げることになるでしょう。
しかし、全ての人々は、この世界を幸福へ導くこと、そして何より自分自身が幸福になることを約束して生まれてきました。時にはそれが信じられないかもしれません。神を恨むこともあるでしょう。それでもこの星にはいつも変わらず太陽の光が降り注ぎ、夜の暗がりは月が静かに照らし、この大地には有り余る富があります。
どのような運命を辿ろうとも、私たちの進む道はあまねく照らされ、その道のりで感じた幸福、あるいは苦悩でさえも、魂にとっては喜びなのです。すべての存在は大いなる恩恵のもと、神々の祝福を受け続けています。
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