廣川政樹 作品
磔
Crucifixion
すべての作品は、AI を使用せず、作家自身の手で制作されています。
Ⅰ
作品解説
創作に身を捧げるために、生身の愛憎を捨てると誓い、人の道を歩むと誓い、内臓を二つ捧げると懇願した。
二羽の鳥が、夕暮れの空へと飛び去って行った。
夜の海へ向かう道すがら、背後から、轟々と流れる川の音を聞いた。
水平線に雷鳴が轟くのを見て引き返し、私は五つの作品の名と最終形態を賜った。
吹雪の中、墓へと歩む私の腕を掴んだ父の手は、死神そのものを示していた。
「全てはお導きである」という言葉の内にも、数え切れない選択が託されている。契約に終わりはない。
果たして、人間に自由意志はあるのか。
人身を磔とし、魂の故郷を心の遠くに置く。
この世界には、もはや審判も救済もなく、時の流れという幻覚と、ほんの一寸の視界に対応するためだけに、根源意識の断片だけが忘れ形見のように残されている。
我々はここに在り、どこにも居ない。懐かしい香りはどこに消えたのか。あの背中は。あの声は。
「空」は実体を持たず、阿頼耶識から漏れ出した影に過ぎない。
情報、管理、表層。種子、因果、共同創造。
人の道は大海を知らず、波打ち際の泡沫しか捉えられない。
何もかもが夢のように過ぎ去り、古びた瞳はただ霞みゆく。
逢いたい。
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