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葬列 / 廣川政樹 — 2023

廣川政樹 作品

葬列

Causal Sets

Apr 2023 ・ Photo collage ・ Digital media ・ 41 x 61 cm (Height x Width)

すべての作品は、AI を使用せず、作家自身の手で制作されています。

作品解説

本作品「葬列」は、東洋の神秘思想と、量子力学と一般相対性理論をつなぐ概念的な架け橋である因果集合理論に着想を得ています。過去・現在・未来の出来事が一瞬のうちに展開されるという、原因と結果の同時性を探求し、時間の連続性という通念に挑戦しています。それぞれの存在は、自らのセルに孤立しているように描かれています。しかし、避けることのできない運命の絆によって互いにつながり、私たちの集合的な存在が形づくられていることが示唆されています。

本作品は、「すべての個が唯一無二であり、不可欠な存在である」とのメッセージを伝えています。あらゆる存在が、世界の大きな変化に不可逆的に寄与しており、それぞれが宇宙の絶え間ない変容の中で重要な役割を担っているのです。星々の海を果てしなく続く比喩的な葬列を通じて、この作品は存在の儚さを浮かび上がらせます。そして、この移ろいやすい世界において、一瞬一瞬の出来事と、出会いというご縁を大切にすることの意義を私たちに問いかけてきます。

評文 — 小澤瑶子

「わたしもほかの河童のやうにこの国へ生まれて来るかどうか、一応父親に尋ねられてから母親の胎内を離れたのだよ。」

「しかし僕はふとした拍子にこの国へ転げ落ちてしまったのです。どうか僕にこの国から出ていかれる路を教えて下さい。」

「出て行かれる路は一つしかない。」

「と云うのは?」

「それはお前さんのここへ来た路だ。」

僕はこの答えを聞いた時になぜか身の毛がよだちました。

「その路が生憎見つからないのです。」

(芥川龍之介『河童』)

私たちの内部には、私たち自身が気づいていない欠如がある。それは私たちを「引っ張り込まなければやまない」「気味の悪いもの」である。しかし、それにもかかわらず私たちはそれを放り出すことの出来ないことに苦慮している。

「心臓の恐ろしさ」とでもいうべき、私たちの内部にある私たち自身が気づいていない欠如を、私たちは追求せずにはいられない。芥川も私たちも「心臓の恐ろしさ」に怯えながらも、そこに存在の根拠を見いだしているのであり、「心臓の恐ろしさ」から自由になれた人間など在りはしないのだろう。

そして、この「葬列」の作者もまた「心臓の恐ろしさ」を自覚しながら、作品を創り出しながら生きている。「純粋な思考には死以外の出口はない」(リヴィエールからアルトーへの手紙)という命題に抗いながら、私たちは日々を繋いでいるのだ。

受賞歴

International Prize: The New Great Masters in New York WinnerFondazione Effetto Arte

掲載

Le Musée Plus Art Magazine Vol. 1Le Musée Plus

展示

CENSOREDMilan, ItalyM.A.D.S. ART GALLERYM. Matilde Della Pina ← 作品一覧へ戻る